第四部 ブース前集客 構成
4- 1. ◆ 会場内を対流する
4- 1- 1. 来場客は会場内を渦巻くように対流する
4- 2. ◆ ブース前のお客は川のように流れる
4- 2- 1. ブース前を川のように流れるお客の中の見込み客(リード: Lead)や新規開拓先に、立寄ってもらわなければ始まらない
4- 2- 2. ブース前通行客の職業・職位は千差万別
4- 2- 3. ブース前素通り率 97~98%の実態をどう読むか
4- 2- 4. 2~ 10 秒間単位で目の前のお客は通り過ぎ、戻って来ない
4- 3. ◆ ブース前の集客
4- 3- 1. 自社想定ターゲット客がいつ何社(人)、自社ブース前を通るかは誰もわからない
4- 3- 2. ブース前素通り客は自社にとってのターゲットアカウントが多いと言えそうか
4- 3- 3. ブース前での集客とセールスアプローチの機能
4- 3- 4. 自社にとって質の高いお客でなければ話にならない
4- 3- 5. ブース前通行客が必ずしも自社にとって質の高いお客とは言えない
4- 3- 6. 出品メイン商品にたいし質の高いお客は何社ブース前で集客できるか
4- 3- 7. 会期中会場で見込み客(リード: Lead)や新規開拓先獲得が見込める
4- 3- 8. リードや新規開拓先はブース前で集客
4- 3- 9. 展示会は大河で一本釣りしているようなもの
4- 3-10. 不確かな中、自社にとって質の高いお客を立寄らせる方法はある
4- 4. ◆ 足止めさせ、引き寄せ、釘付けて、プール
4- 4- 1. 足止めさせる
4- 4- 2. 見込み客(リード: Lead)や新規開拓先を引き寄せるには 2~10 秒間しかない。この一瞬の単位で目の前のお客は通り過ぎる
4- 4- 3. 引き寄せて、プール
4- 5. ◆ 立寄らせる
4- 5- 1. 立寄りの動機づけは不可避
4- 5 - 2. 質の高い見込み客(リード: Lead)や新規開拓先をブースに立寄らせる目標数の算出法
4- 5 - 3. ブース立寄りの意思決定は 3/1000 秒間。まばたきの一瞬
4- 6. ◆ ブースパフォーマンス
4- 6- 1. PR中心のブースパフォーマンスのみの出展は有効か
4- 7. ◆ 訴求/ アピール
4- 7- 1. ヒトは目的で行動する
【ヒトは目的で行動し、日常的なものや、インパクトに欠けるものは相手にしない】
4-1. ◆ 会場内を対流する
4- 1- 1. 来場客は会場内を渦巻くように対流する
呼び込まれたお客がわんさかやって来て、幾つかの入り口から一斉に会場内に来場客は雪崩れ込む。目的を持ってやって来たお客の多くは、専門展 7~8ゾーンに分散され流れる。もう一方の流れは、主催者の仕掛けたホットスポットに向けて強制動線や客動線に沿って、会場内を回遊する。
また、
非日常の商空間の熱気に包まれ、川の流れのように対流する。そして、熱心に会場内で対流し、興味・関心を抱いたブースへ積極的に立ち寄ろうとする。
4-2. ◆ ブース前のお客は川のように流れる
4- 2- 1. ブース前を川のように流れるお客の中の見込み客(リード: Lead)や新規開拓先に、立寄ってもらわなければ始まらない
会場内を対流した来場客の内何割かのお客は、やがて自社ブース前をやって来るが 、見込み客(リード: Lead)や新規開拓先獲得を主たる目的で出展した場合、この目の前を通行するお客の中から、
自社にとって質の高いお客がブースに立寄ってくれなければ、何も始まらない。
なのであるが、
当て外れで戸惑うことも多くあって、お客は容易に立寄ってくれないものである。
折角の機会をつくったものの当て外れであるから、
止む無くブース前で商品(製品・技術・システム・サービス)カタログを配布しながら「よろしくお願いします」と語るだけのことで終始する出展者があったり、
ノベルティ・粗品・記念品を見せながら、それを配布し、代わりにバーコードをスキャニングしたり名刺を回収して、
会期終了後の報告書に、「延べ何人に商品説明した」と記載して終わる出展者もある。
会期前の企画や準備と研修やミーティングを繰り返し、立派な大規模ブースを設置するなど、万全を期したつもりで出展して、立寄り客が無いことに唖然としている出展者もある。
ステージ上でプロのMCがインカムを付けて高らかにPRしている出展ブースに、それなりの集客をキープしたが、パフォーマンス終了後、商品(製品・技術・システム・サービス)展示・陳列コーナーに引き寄せることが出来ずに、ステージパフォーマンスを繰り返すだけのことで終えて、会期後も何ら売りに結びつく結果が得られなかった出展者もある。
PRさえすれば結果が出ると思い込んで、懸命に商品の優れた点を強調したものの、「取引行動や取引予定行動を起させる」商談行為に至らず、会期後のアフターセールスのターゲットアカウントを獲得できなかったため、出展効果が結実しなかった出展者も多々ある。
だが、何につけ、先ずは
質の高い顧客をブース内に立寄らせなければ、何も始まらない
どころか、これでは一巻の終わり。
☑ さて、どうする
4- 2- 2. ブース前通行客の職業・職位は千差万別
来場者総数とブース前通行客数の多さから、来場客の多さに驚くかもしれないが、生産財の出展者の立場で一般に、ブース前通行客を頭に描くとき、
「情報収集、出展者との商取引の契約を目的として展示会に参加する人」を想定しているかもしれないが、
通行客のなかに、実際は、出展スタッフ、報道関係者、サービス提供者、主催者スタッフ」以外に、様々な職業や顔を持っている人が多く通行している。
セミナーなどコンベンション受講の目的で来た来場者、
自社テリトリー以外の地方客、海外展示会ビルダー等関連企業、海外出展者、海外展示会関連企業、お役人、
協会団体関係者、展示会主催者、オーガナイザー、本部事務局要員、後援・協賛・協力者、他の展示会主催者、他の施設関係者、
競合他社関連企業、
出展者対象に名刺交換にやって来た売込み客、保険会社のセールスマン等売り込み目的に来た人、大学/研究所関係者、学生、
出展企業、出展企業の関係者、競合他社、流通関係者、市場調査会社、取材などで巡回しているPR関係者、通訳とその関係会社の担当者、広告代理店、販促代理店、サービス提供者、
施工業者・ブース・デザイン・設計のデザイナー・ディスプレイや設備・レンタル業者など展示会関連の各種会社、他の施設関係者、
イベントコンパニオン派遣会社担当、アルバイター、運送会社集配人、警備員、
展示会マニア、コンパニオン撮影を目的に来場したアマチュアカメラマンたち等々が含まれる。この他に、トイレ利用者も頻繁に往復している ・・・
そして通り過ぎる来場者と違って同じ人が、何度も通っていることもあり、毎日来ている人も居る。
そしてターゲットアカウント。… 招待客、既存取引先、見込み客(リード: Lead)や新規開拓先、競合他社や関連市場の顧客、競合の射程を超える大手企業の顧客、セミナー受講の目的で来た来場者の中で自社製品の価値に合致するテーマを受講したお客 …
ブース前を通過する来場者は、様々な職業や顔を持っている
独自調査によれば、ある
ブース前素通り率は、97~98%
であった。
100人に 2~3人の割合でブースに立寄っているが、100人中 97~98人はブースを素通りしている。
ブース前を通行する人が、自社にとって望ましいお客が100人中 97~98人に含まれているのかは未調査であるから不明である。
逆に言えば、自社にとって望ましいお客が自社ブース前にやって来た時、100%ブースに立寄ってくれれば言うことはないが、何人かが素通りしているとすれば、ロスを生んでいることになる。
自社にとって望ましいお客という見方は、出展企業がそう思っているだけのことで、お客のほうからすれば、望ましい出展者かどうかは、ある程度知名度や好意度次第で多少そう受け止められるだけのことだ。
ある目的を持って歩いているお客は、好奇心の強い人でないかぎり、目的に向かって歩くので、自社ブースは見落としがちになるのは歪めない。
そして素通りしたお客の殆どは戻って来ることはないから、会期中ブース前を通行する人はほぼ全員違う人である、
と云うことは、素通り続けたとすれば、自社ブースへの立寄りは殆どないことになる。如何に立派なブースつくりを大規模に徹底したとしても、立寄りがなければ一巻の終わりである。
これは何を意味するかと言えば、
立寄って欲しいのであるから、立寄ってくれる仕掛けを施す必要がある
ということ。
4- 2- 4. 2~10秒間単位で目の前のお客は通り過ぎ、戻って来ない
来場したブース前通行客は、間口 3 メートルの基礎小間ではおよそ 2 秒間、15 mの間口では 10 秒間で川のように絶えず流れ、通り過ぎて行く。
「いらっしゃいませ。如何ですか」と呼びかけている人も居るが、このフレーズは相手に響かないから素通りされていて、そのお客たちは、戻って来ることはしない。その中に見込み客(リード: Lead)や新規開拓先が居たかもしれない。
4- 3. ◆ ブース前の集客
4- 3- 1. 自社想定ターゲット客がいつ何社(人)、自社ブース前を通るかは誰もわからない
自社ブース前を通るかどうか。通るとしても、いつ何社(人)かは誰もわからない。それは、暗闇に目を閉じ、手さぐりで模索しているに等しい。
通常のビジネスステージでの営業活動では、候補リストを入手して、狙い定めて訪問しているではないか。
出展して、新規客のみを対象にする企業のすべては、この問題から逃れる訳にはいかない。何も手を打たずじまいであれば、不確実なまま推移することになる。
☑ これで投入した手間・時間・コストに見合う利益を生むことができる保証はどこにあるのか。
4- 3- 2. ブース前素通り客は自社にとってのターゲットアカウントが多いと言えそうか
ブース前を通る見込み客(リード: Lead)や新規開拓先は、参加した専門展のお客ばかりでない。まったく疎遠の他の専門展のお客も居れば、結構出展者もそこに交じって通行している。施工業者も含め、開催された展示会のターゲット以外の様々な職業や顔の人が多いため、つい皆来場客に見え、惑わされがちになるが、出展者のリードや新規開拓先はそう多いとは言えないかもしれない。
これも前項で述べたことと一緒で、
他人事のように何も手を下さず、ひたすら待つチマチマした姿勢では、成果の目的も目標も達成は難しい。
自社にとってのリードや新規開拓先を分析するまでもなく、そのお客を主催者やオーガナイザーが出展成果(目的・目標)計画に見合う顧客を集客し、自社ブースに立寄らせるサービスを提供できると思うか。
待ちの姿勢で何も働きかけずに済ませて、来場客のなかの自社にとって見込み度の高いお客の方から積極的に、ブースに1000人中何人が立寄ってくれると思うか。祭りの露天商で同じスタイルのパターンをよく垣間見るが、立寄客はほとんどいないそれと同じスタイルではないか。
直接法・間接法を含めて、出来るのは出展者自身ではないか。それを実行しなければ、いつ何人(社)がブース前に現われるか不確かで不確実なビジネスに終始していることになる。
来場客の多さは出展者にとってどう受け止めれば良いか。
ここで言えることは多さに幻惑されてはならず、冷静に、
自社にとって質の高いリードや新規開拓先に絞るにはどうするべきか
を考えたい。
特に、既存取引先よりも新規見込み客の開拓を目的に出展している企業にとって、
ブース前通行客の集客は、最優先テーマとせざるを得ない。
「チマチマし過ぎた工夫のない待機では、成果は他社にプレゼントとなる」の項で述べるように、
集客できなければ全巻の終わり
である。
自社にとって質の高いお客は多いとは言えそうにない。その中から、このお客に絞ってブースに立寄らせなければ出展成果(目的・目標)は獲得できない。
そのためには、先ず優先すべき課題は、
「自社にとって質の高いお客」を定義づける
ことである。
それには
「メインターゲットアカウントのプロフィールと商品(製品・技術・サービスなど)利用・使用・消費の T・P・O 」を先ず具体的にイメージ形成して描き、関係者間でそれを共有することになる。
これが出来れば、次に、
そのリードや新規開拓先の見出し方が検討テーマとなる。
例えば
会期中ブース前通行客の中から自社にとって質の高いお客を見つけ出すには何をどのように実施して発見するか、
である。
見つけ出したなら、次にどうやってブースに立寄らせるかの策を講じる。
そこでここまでのことの
事前の業務設計であるが、具体的にイメージ形成のなかに潜むセールス・キーワードを摘出
し、
そのキーワードのなか
自社にとって質の高いリードや新規開拓先が注意を喚起し、次に興味・関心を抱き、そしてそのお客が、自主的に踏み込みたいと思わせるにはどのようなトークが有効となるかの検討
をおこなう。
その前提で
ターゲットアカウントの分類を想定しなければならない。それは先ず、ウオンツとニーズ別となるなど通常のビジネスステージでの営業活動での設計と同様の準備である。
分類別の訴求トークが完成すれば
テストを重ねる。
そしてその結果、何をどのようにおこなえば期待するリードや新規開拓先がブースに立寄るかの、企画立案となる。
手段は様々であり、一様の方法では効果薄も考えられるから、複数案を駆使して、出展のつど効果を確かめる。
ブース前通行客から、ターゲットとすべきリードや新規開拓先のプロフィールは、こうして見えてくる。
出展準備の初期段階でこのテーマを解決しておかなければ間に合わないことになって、他のすべての準備が完了したところで、効果や成果(目的・目標)は覚束ない。
次に立寄らせたリードや新規開拓先に最初に行なうべきことがある。
これを実行しないで、いきなり「いらっしゃいませ」と声を掛けると、とかくお客はその場から離れて立ち去るものである。
答えは、
先ずはブース内で気ままに泳がすことである。
すると「ファーストアプローチの絶好のチャンスが必ず到来する」。このときはじめて、「いらっしゃいませ」とか「メイアイ・ヘルプユー」となる。
このようにして、商談あるいは有用情報を求めて立寄ったリードや新規開拓先への足掛かりを掴んでいくことになる。
単に、商談しょうと動いたのでは、答えは出ない。
4- 3- 3. ブース前での集客とセールスアプローチの機能
ブース前を川のように流れている来場客を集客して、釘付けにしプールして、アピールするまでは、セールスイベント機能である。
この
セールスイベント機能の強みを活用して目的・目標を達成するシナリオとなる。
この作業を出展企画段階で固めておかなければ、現場での実現はあり得ない。
また、ブースの商品展示コーナーに引き寄せて、コンタクト(接客)し、ポイントを衝いた商品(製品・技術・システム・サービス)の説明は、
小売店の対面販売機能となる。
商品展示コーナーに佇んだお客にいきなりセールスアプローチすると、そのお客は早々に立ち去る可能性が増すことから、様子見して、アプローチのタイミングを見計らい、絶好のタイミングをつかんでのこととなる。
対面販売機能を持たない出展企業でも、出展せざるを得ないのであるから、これを修得する必要が生じる。
4- 3- 4. 自社にとって質の高いお客でなければ話にならない
特定の来場者(主にビジネス関係者)を対象とする開催展示会において、出展者にとって質の高いお客(優良なお客様)とは、
「出展者の実質の商談や商談予定行動の対象出品財(製品・商品や技術・システム・サービスなど)の継続利用が可能な使用者かつ取引相手先で、ボンディングを通じて取引先(顧客)の価値を高めるに値する顧客である」と言える。
自社にとって質の高いお客は出展企業にとって極めて重要で、展示会に出展するからには、このお客とコンタクト(接客)しなければロスが多すぎる。
☑ では具体的に、「商談行動や商談予定行動を起させる」相手となる自社にとって質の高いお客のプロフィールと利用・活用・消費のT・P・Oをどのように描いて対応する計画であるか
そのうえで、
最優先して商談すべき見込み客(リード: Lead)や新規開拓先など相手の状況に合わせて商談の優先度や関心事、そしてニーズの内容とその強弱、あるいは対象者の社内における位置づけや権限などを読み取って、即座に対応して短時間でのコンタクト(接客)の目的と目標が達成できる準備で臨んでいるか
☑ このように具体的に、自社にとって質の高いお客をどのように位置づけて、どのような商談を描いて、目的と目標を達成しようとしているか
☑ しかも、それは、幾つかのタイプに分類して置かなければ現実化しない。その準備は出来てのことか
☑ そもそも開催展示会において主催者およびオーガナイザーは、自社にとって質の高いお客の来場者総数をどれだけと見込んでいるのか
☑ 自社にとって質の高い見込み客(リード: Lead)や新規開拓先を会場に呼び寄せるため、どのような働き掛けをどの程度行ったかを確かめているか
☑ だが 、 自社にとって質の高いお客を集客するのは 、 自社がメインでなければならない
☑ 主催者側が 、 自社にとって質の高いお客を何社(人)と明確に言えないことにたいし、その責任はない。
依って
出展者は対応策を講じなければ、終始闇雲で暗中模索の手探りでとなる。結果、成果(目的・目標)が見出される保証はない。曖昧なまま出展して良い訳がない。
☑ 計画段階で、自社にとって質の高いお客は延べ何人来場すると推測してのことか
☑ 成果(目的・目標)を獲得するために、一日当たり何社(人)と商談行動や商談予定行動を起させる計画か
☑ 商談行動や商談予定行動を起させる所要時間は、見込み客(リード: Lead)や新規開拓先一社当たり何分間で設定しているか
☑ その基本設定ために、一日当たり何社(人)とコンタクト(接客)する計画か
☑ 自社にとって質の高いお客とコンタクト(接客)するために、一日当たり、見込み客一社当たりの商談を軸にして、何社(人)ブース内商品展示陳列コーナーへ立寄らせる計画か
☑ いつもと変わらいことにリードや新規開拓先は関心を示そうとしない。魅力のないブースには立ち寄らない。余程のことがない限り、お客の方から立寄ろうとはしない。
注意を喚起し、関心・興味を抱き、即発される何かがなければ、立ち寄る気にならない。その相手にたいし、祭りの露天商のような待ちのスタイルで居たのでは、ほとんどのお客は立寄らないし、自社にとって質の高いお客は誰も確約できない。この認識に立ったうえで、自社ブース前通行客をブースに立寄らせる企画や計画を立案したか。
☑ 出展成果(目的・目標)達成計画に則って、ブース前で自社にとって質の高いお客の集客活動を 2~10秒間単位で繰り返す具体的な策を講じて実施しているか
自社にとって質の高いお客をターゲットアカウントとして集客し、商品展示陳列コーナーで計画に則ってコンタクト(接客)しなければ、出展成果(目的・目標)の達成はない。
それどころか、自社にとって質の高いお客は、競合他社にとっても質の高いお客で、展示会は、その競合他社と質の高いお客の争奪戦を 2~10秒間単位で繰り返しているのであるから、企画や計画は、そのことを見越してでなければ、勝負に負ける。
展示会と通常のビジネスステージにおける活動とは因果関係にあるから、展示会出展で勝負に負けるということは、通常のビジネスステージにおける活動でも負けることになる。
4- 3- 5. ブース前通行客が必ずしも自社にとって質の高いお客とは言えない
ブース前を素通り客は自社にとっての見込み客(リード: Lead)が多いとは言えず、自社ブース前を通るかどうか。通るとしても、いつ何社(人)かは誰もわからないことは、先述と同様で、ブース前通行客が必ずしも自社にとって質の高いお客とは言えない。
しかし
確実に言えることは、このターゲットアカウントと商談しない限り、成果など出よう筈がない。
「ビジネスは質の高いお客の多い方が勝利する」もの
であり、
「販売の量は、自社にとって質の高いお客とのコンタクト(接客)数に比例する」
のであり、
「売上=単価×客数という不変の公式」にあるように、売上は客数を増やすことで増大する。自社にとっての質の高いリードや新規開拓先が多いか少ないか、居ないかもしれないブース前を素通り客を当てにして、商談が成立するのだろうか。
4- 3- 6. 出品メイン商品にたいし質の高いお客は何社ブース前で集客できるか
☑ ブース前集客活動でのブース立寄り客数は目標管理されているか
☑ 会期中ブースに一日当たり何人(社)のお客を集客すべきか
☑ その目標数は、どのような方法で算出するか
☑ 会期中ブースに一時間当たり何人(社)のお客を集客すべきか
☑ その目標数は、どのような方法で算出するか
☑ その算出法は適当か
☑ 会期中ブースに一日当たり何人(社)の質の高いお客を集客できるか
☑ 会期中ブースに一時間当たり何人(社)の質の高いお客を集客できるか
☑ 自社にとって質の高いお客はそもそも集客できるのか
☑ できるとして、どのような手段・方法で集客する計画か
☑ できなければ、どのような手段・方法で集客するつもりか
その質の高さは、出品されるメイン商品(製品・技術・サービスなど)対象の顧客であるべきであるから、集客数の目標は、メイン商品別となる。
☑ これを見据えて、対策を講じているか
☑ そもそも、出品対象商品の自社にとって質の高いお客は集客できるのか
☑ そもそも、出品対象商品の自社にとって質の高いお客はブース前を通行しているのか
☑ 不明、不確実の展示会に出展して、どのように期待どおり、計画どおりの成果(目的・目標)をあげるつもりか
策を講じなければ、結果は当てずっぽとなるが、そうしないために質の高いお客をブース立寄らさなければならない。
☑ 手段・方法は考えれば出てくるものだが、具体的にそのアクションを起こして出展しているか
☑ そのお客は、自社にとって自社の商品(製品・サービス)にとって質の高いお客か
☑ 会期中ブースに一時間当たり何人(社)の質の高いお客を集客すべきか
4- 3- 7. 会期中会場で見込み客(リード: Lead)や新規開拓獲得が見込める
別項で、「情報収集が来場の目的客」をメインターゲットとし、その中から自社にとって質のある見込み顧客をブースに立寄らせるにはどうするか。プロモーショナル・マーケティングで解決すべき、と提言した。
このテーマは出展においてテーマとして不可欠であるが、ブースに立寄らせてフェースツーフェースでコンタクトするターゲットは、この人たちだけではない。
☑ ところが多くの出展者は、会期中に会場で「情報収集が来場の目的客」の中の見込み客(リード: Lead)や新規開拓先獲得のみで終始している。
この着眼に少しも間違いはないが、これを主たる目的にして出展すると、アカウント政策・アカウント戦略・アカウント獲得計画などで、
とてつもなく手痛い結果を招くことになる。さて、それは何か
4- 3- 8. 新規開拓や見込み客(リード: Lead)はブース前で集客
事前に招待したり、広報活動で呼ばないかぎり、新規開拓先・見込み客(リード: Lead)は会期中ブース前で集客しなければならない。
出展の目的が、新規見込み客獲得であれば、尚更のことであるが、事前にこの対応策を講じて臨まなければ、痛い目に遭うことが大いに予想され最悪の結果となる。
多くの出展者は、展示会はお客の方からわんさかやって来て、ブースに立寄るものだと早合点していて、対策を講じていないからでもあるが、そもそも企業の持つ機能に、「集客機能」が存在していないことにも起因している。
「集客機能」で最も代表的なものは、「イベント機能」、それと「推奨販売機能」などである。
大手出展企業が、ステージを設けてパフォーマンスを実施しているのも対策の一つであることは言うまでもない。
だからと言ってその集客手段は、すべての出展者は不可能であるから、
ステージパフォーマンス以外の施策が有効である、例えば
単なるPR型で終始するイベント機能ではなく、セールスイベントで機能を果たすこと
は必須課題である。
そうせざるを得ない理由が、展示会には幾つも内包されている。
会場内を対流しているお客が、ブース前を通行するとき、出展者側でその様子を見ると、川のように流れて行く。自社ブースを視認することなく過ぎ去るお客も結構多い。
チラッと見てくれてもそのまま立ち去るお客も多い。
歩行速度は 3~4Km/h であるから、およそ 2 秒間~ 10 秒間で通り過ぎて行く。
この通行客がいつ何人やって来るか、誰もサッパリ読めないから、云わば暗中模索状態のなか、手探りを続けることになる。
お客のプロフィールやニーズなどもわからない。その状態で手探りを続けることになる。
立寄ってくれるお客は、自社にとって質の高いお客でなければ結果は出ないのであるから、集客行為は大河で一本釣りするようなもので、何も策を講じないかぎり、立寄らせは極めて難題である。
そのお客を引き寄せるのには 2~10 秒間しかない。しかも絶えず目にするお客は違う人であるから、引き寄せることができなければ元の木阿弥。
質が良かろうが粗雑であろうが、
流れている来場客が「このブースに立寄ってみようか」と意思決定する時間は何と 3/1000 秒。まばたきの一瞬である以上、対策を講じて集客の成果に導くのはその一瞬で完了を繰り返す、となる。
ブースに立寄らせるターゲットアカウントは、言うまでもなく自社にとって質の高いで既存取引先や新規開拓先・リードあるから、このお客に絞って集客することがテーマである。
換言すれば、
自社にとって質の高い顧客が注意を喚起し、背中を押して、訴求テーマの存在を認知させたから、その気になって立寄るもので、興味・関心を抱いた結果である故に、自社にとって質の高い顧客が興味・関心を抱く施策を講じることになる。
そもそも
ヒトの行動は目的によって動いているから、基本は目的化しないかぎり立寄ろうとしない。 …
これらの問題点を考えての企画と準備でなければ容易に立寄ってくれないのであるが、セールスイベントや呼び込み、デモンストレーションなどを実施することで、創造性のある内容次第であるが、有効となる。効率的でもある。
また、
ブース前に多くのお客が常にプールされている出展者にヒアリングすると、案の定
大抵は新製品・新技術・新システム・新サービスの事前のパブリシティ狙いが利いている結果であった。
その告知で、実物を見てみたい 、 有用情報をそのうえで踏み込んで得たい、価値に触れたい、ウオンツやンーズに適合するか判断したい、他社製品と比較し検討したいなど意識・認識の程度の差こそあれ、このようなことが来場の目的であるから、
そのそれぞれの解決を数分間程度で完結させるために、
セールスイベントや呼び込み、デモンストレーションなどの手段を駆使することで、
広報などの、事前活動の目的が果たせる。
4- 3- 9. 展示会は大河で一本釣りしているようなもの
ブース立寄りの動機づけを行ないつつ、質の高い見込み客(リード: Lead)や新規開拓先と巡り合うため狙いを定めて集客の活動を、会期中およそ115回繰り返すことが可能とになる。
その行為は、川での魚釣りに似ている。
逃した魚が戻っては来ないだろうから、間口 15 m の小間では、ターゲットアカウント一人当たり釣り上げるタイミングは 10 秒間の猶予があるが、3 メートルの基礎小間ではおよそ 2 秒間しかない。
このことで言えることは、市場地域・立地に大きく関連して、ブース前通行客数の多さは集客のための有効化のファクターと言えそうだ。
川釣りで餌釣り法を採用して、ノベルティや粗品を配布する出展者があるが、集客目的としてはいただけない。名刺交換で配布しているのも如何なものか。アンケート調査回答者への配布も同様で、これらで仮に集客したとしても、粗品欲しさの人が商談に応じてくれる良質な商談者とはとても考えにくい。
自社にとって質の高いお客を見据えてのことであれば有効である。
さて、ブース前通行客の集客において、基本的に認識しておかなければならない重要な視座がある。
それは、
生産財の場合のターゲットアカウントは非耐久消費財のように不特定多数ではないということだ。特定少数である点である。特定されるお客で、本来客数は多いとは言えない。
投網法で釣ろうとしても、結果は役立たずの網となる。
しかも自社にとって質の高いリードや新規開拓先であったとしても、ニーズがまったく顕在化する見込みのないお客も居るだろうし、遠隔地から来場したお客も居ることがある。そのお客に旅費交通費と宿泊費を費やしてセールスアプローチせざるを得ない事態になりかねない。
事前の選別が必要である。
このようなことから言えることは、実は、
展示会は大河で一本釣りしているようなものなのである。
これまで述べてきたように、来場客はわんさとやって来ているものの、会場内で分散し、様々な環境下で客数は絞られ、それでしかも多くはターゲットアカウントではない。
その多くの来場客のなか、自社にとって質の高いリードや新規開拓先なのか不確かなまま、自社ブースにつながる通路から川のように流れて来て、ブース前を通過するお客が多い。
この中から質の高いお客をブース立ち寄らせなければ商談相手と巡り合えない。
「質の高いリードや新規開拓先をブースに立寄らせる目標数の算出法」の項で述べたように、
出展の目的と目標を計画に沿って達成するために、
出展における受注率・成約率から逆算して、商談の目標客数、そこに持ち込むためのコンタクト数、そのためのヒアリング数、そしてアプローチ数を算出し、
会期中にキャッチしなければならないとして算出した質の高いリードや新規開拓先のブース立寄らせ目標数を確保しなければ、その時点で計画倒れの結果を招く。
まさに大河で一本釣りとなる。
僅少のリードや新規開拓先と短い会期中に巡り会える希少な機会である展示会で、
一本釣りの知識と経験とスキルを高め、
商談するための目標立寄り客数を獲得しなければ出展成果は出ない筈のところ、大半の出展企業は、
待てば立寄ると信じてか、チマチマとし過ぎた待機の仕方で対応しているこの姿勢では、
到底商談目的客と商談結果を出せる機会薄のこの実態に、出展者営業の責任者もマーケティング担当者も、経営管理者や経営者も、展示会ビルダーもコンサルタントなど専門家も大学の諸先生方も国も、誰も気づいていないのだろうか。この調子で海外に進出したり、これまでにない大型施設を建設して、どうなるものか。
「売上げを拡大し、安定した大きな利益を得て、競合他社に勝利し、シェアを高める」このことは、上は社長から下は末端の担当者まで営業やマーケティングに携わるすべての者は、寝ても覚めても、片時も忘れてはならないのではないのか。
この命題の足かせ諸問題にたいし真摯に向き合い、出来ることから課題を解決するのが仕事というものではないのか。
確かに生産財企業の営業スタイル(業態)は、外に向けて日々打って出ている。このスタイルであるから「お客が入って来る」「だから待つ」は、ほぼ無い。だから的外れの手法にとまどっているのかもしれないが、それで良い訳ではなく、
事業にとって不可避の展示会出展であるから、そこに合わせた営業展開スタイルを踏襲しなければ結果は出せない。
しかも展示会出展の如何ともし難いテーマが、生産性の向上に水を差す問題を解決して出展というこの認識も加味して出展に臨まなければならない。
このスタイルは、お客を引き寄せる推奨販売などのプロモーション機能である。
昔むかしの話になるが、「バナナの叩き売り」や「ガマの油売り」、名優渥美清がかつて映画『寅さん』で演じた販売の一シーンの一コマ … のアレである。ソレらに替わるモノ・コト・ネタを、プロモーション機能で出来れば出展のつど新しく創り出すコレが有効な手段である。これで一本釣りができる。プロポーズしなければ受け入れてくれないし、固定取引客として永いお付き合いの相手にはなってくれない。
商談目的でやって来る来場客は、基本真っ直ぐ目的のブースに立寄る。
このスタイルで立寄るお客が少なければ、来場客は商談目的ではないと見ていい。他社ブースで商談を終えて情報収集に目的を置き換えた担当者は既に商談中の顔にはなっていない。まだ切り返しの見込みがあるやもしれない。このケースも含めて、展示会はブース前を素通りするお客が圧倒的に多い。この実態が物語ることに直視すべきだ。
主催者やオーガナイザーがやっきになって商談の機会と場を積極的に告知して展示会や見本市を開催しても、来場客の多くは商談目的でやって来ていない。これが日本型の展示会で、商談の機会と場を開催し提供するのであれば、これはもはや商談会である。ただしそうなれば来場者数は極端に減少するし、ビジネスの祭典のように「非日常の商空間」の演出は不要か僅少でいい。
現実、このスタイルで開催されている展示会や見本市の場合、どこも会場スペースは 100 パーセント使用できずに終えている。これは必定の結果である。
生産財のお客は特定されて、しかも希少である。生産財の出展企業も特定されて、そして同じく希少である。双方がこの特定されて希少であるから、開催される展示会や見本市の規模はスモールにせざるを得ない。
したがって主催者は関連産業をいくつか組み合わせて一つの市場を生み出すように新しい切り口で開催し、そのいくつかの組み合わせで専門展のゾーンを生み出している。その専門展のゾーン編成スペースに出展する出展企業の関係来場客は、例えば 7
専門展で構成されたときは、その一つであるから、大雑把に単純計算すると、発表される来場者総数の 1分の7であるから、この出展企業の対象来場客は比較的質の高い顧客であるかもしれないが、それなりでしかない。
このような出展企業は企画立案する前に検討すべきことがある。それは主催者が新しい切り口で一つの市場を生み出すようにそ
のいくつかの組み合わせで専門展のゾーンを生み出しての訴求テーマを分析し、その企業の出品メインに対する訴求の新しい切り口で新たな需要が創造できるや否や、深堀して検討したいものである。
生産財の市場規模・顧客の支出総額を「売上と新しい切り口での新たに創造した需要の見込み売上の合算 = 平均単価×客数」でもって、会期中の諸テーマ別の客数を割り出してみれば納得の筈である。
ブース前通行客は商談目的のお客であろうとなかろと、先ずは質の高い顧客を呼び込むことから作業は始まる。
ブース前通行客が川の流れのように通り過ぎるのは、自社にとって不要のお客であれば問題ないが、質の高い顧客を呼び込むべきところ、何の刺激も与えず、動機づけもされていないとすれば、その結果はよほどのことでない限り、立寄らない。お客は背中を押さなければ動いてくれないことは経験済ではないか。
自社にとって質の高いリードや新規開拓先を対象に、利くフレーズで注意を喚起し、興味・関心をひきつけ、支援し、示した新しさで刺激を与え、求めているニーズを具体的なイメージで形成して平易な表現で示し、顧客ベネフィット(メリット・便益・利益・期待どおりの満足・恩恵・利便など)を絡ませ、ターゲットアカウントにストレートに伝える仕掛けで、「気づきたい・見たい・聞きたい・触れたい・少しの努力で手に入れたい」と思わせるサポ―トの工夫が決め手になる。
通常のビジネスステージでの営業活動で、既に実施している上記の要素を盛り込んだセールスストーリー構成のそれを基本、流用すればいいだけのこと。
そのうえで、出展用としてそれをアレンジする。これは必須テーマとなる。
「出展のつど新しく創り出す」ことになる。それは、ヒトは「新しさ」を求めているからだ。
来場客は、自社にとって質の高い顧客も含んで、日ごろ見慣れた商品などには見向きもしないものだ。
その既存の商品を展示会に出品するときは、「新しい切り口」と「新しい訴求方法」などで呼び寄せる、この工夫とちょっとした演出が解決の手段である。
4- 3-10. 不確かな中、自社にとって質の高いお客を立寄らせる方法はある
商談に重点を置いた出展をしたとしても、目標を設定して計画どおり実施しても実際は、商談につながる成果の確約は一切ない。
主催者の告知に触発されたお客が来場するのは、その告知内容に刺激されたからであり、その告知内容が全出展企業のメイン出品商品の商談に寄与するとは考えられないからだ。
出展企業が、会期の事前にターゲットアカウントにたいし自社ブースへ来場促進を図れば、それに呼応したお客はブースに立寄ってくれる。
その事前プロモーションを実施しなければ、片道 2時間くらいを掛けてやって来た商談目的の10~15%のお客と情報収集目的の残りのお客が会期中にやって来て、
会場内の 6ブースくらいに 7分間くらいの所要で立寄るのであるが、
立寄るかどうかを瞬きの一瞬で判断し、
基礎小間では2秒間、5小間サイズ程度の規模のブース前を通り過ぎるのはおよそ10秒間でとなるし、
来場客は出展者ブース前を川のように流れていて、
出展企業にまったく無縁の来場客もそこに大勢混じっているし、主催者の告知に触発されたお客の中の大半は他専門展のお客であるから、
川の流れの中から自社にとって質の高い顧客は大河で一本釣りを行っているようなもののなか、
そのお客の眼を引き、注意を喚起してもらい興味と関心を持って立寄ることを意思決定してもらうことをすることで、立寄ってくれる。
流れているお客の中の質の高い顧客にこうして一人ずつばらばらにその都度立寄ってもらってコンタクトするパターンは効率が悪いから、一旦はマグネットスポットで上気させる複数の客を一定数プールしての前段の目的を達成し、
そこに佇んでくれたお客に今度は当該メイン商品展示陳列コーナーに引き寄せ、
そこで出展の目的と目標を果たし、短い時間の中でフィニッシュワークで締めくくり、その時点で名刺交換した見込み客(リード: Lead)や新規開拓先と、会期後再会を約束し、訪問日時を取り決める。
その出展の結果を会期後の成果(目的・目標)につなぐこの展開をおよそ10分間くらいのブーシングで繰り返す。
そのためのブース立寄らせのためのマグネットスポットで上気させる複数客のプールであり、その実現のための呼び込み(集客)の活動を会期中生産性の高い展開を余儀なくされる。
それは何故かと言えば、「展示会は会期が短い。お客が目の前を流れ去る時間も短い。マグネットスポットでのプール時間も、当該メイン商品展示陳列コーナーに引き寄せてコンタクト(接客)する時間も少ないという如何ともし難い限界特性という制約される特性であるからである。
この環境を余儀なくされる展示会において、呼び込み(集客)やマグネットスポットでプールしての活動を実施しなかったときのブース前素通り率は、97~98%であるから、1000人通過する客数の中から立寄ってくれる客数は質の善し悪しは別にして20~30人しか確保できない。これで出展の成果(目的・目標)は得られるに十分な客数であるか。
何としても立寄らせたい。そこで考え抜かなければならない。考えれば、「ある」のである。
☑ さて、それは何か
4- 4. ◆ 足止めさせ、引き寄せ、釘付けて、プール
4- 4- 1. 足止めさせる
ブースに立寄らせるには、先ず歩いているお客を足止めさせるくらいのことをしなければならない。
どのようなことを仕掛ければそうなるのか。
自社ブースを目視確認させるために、視認率を高めることは避けられない。誘目率を高めることもある。
そこにコピーなど文字を使う場合、一文字のサイズや配色を考慮することも忘れてはならない。
20~30メートル手前から歩いて来たお客に、注意を喚起させる何かで自社ブースを目立たせる仕掛けだ。これは周辺も同じことを狙っているとすれば、際立つことが求められる。例えば、シンボルタワーを建てるのもその一つ。
音、照明の演出もある。
呼び込みの声を聴かせることもあるが、「いらっしゃいませ。如何ですか」程度ではヒトは動かない。必要なのは、興味・関心を引き寄せる短いトークとなるが、売りたい商品の特徴を語っても響かない。見込み客(リード: Lead)や新規開拓先はどのような呼びかけに反応するか、だ。
だからイベント機能。何か新しいことをやるとか、珍しいことをするとか … 希少で特別な、である。大規模ブース(小間)でのステージパフォーマンスはこれ狙いと言える。
間口 3 メートルの基礎小間ではおよそ 2 秒間、15 mの間口では 10 秒間で通り過ぎて行く。この通行客がいつ何人やって来るか、サッパリ読めない。そして目の前に歩いているリードや新規開拓先を呼び寄せてブースに立寄らせなければならない最初の仕掛けは、足止めさせることにある。
4- 4- 2. 見込み客(リード: Lead)や新規開拓先を引き寄せるには 2~10秒間しかない。この一瞬の単位で目の前のお客は通り過ぎる
来場客の大半は、会場内の出展ブースの前を通過するとき、「何かないか。何かないか」。「何か有益なものはないか。何か珍しいものはないか」。「ないか無いか」と歩いている。
決して急ぎ足でない。3~4Km/h での歩行速度はそうしたことから、と思って間違いない。
およそ 2 ~10 秒間で通り過ぎて行く。
見込み客(リード: Lead)や新規開拓先をブースに引き寄せるのは、この「一瞬」となる。この短い時間が勝負の分かれ目となる。
この一瞬に、見込み客をブースに引き寄せるにはどうすれば良いか。
しかも、花見客を引き寄せても仕方ない。難しいテーマであるが、引き寄せる標的のリードや新規開拓先は、自社メイン商品(製品・技術・システム・サービス)の見込み客。この客でなければ始まらない。
会期は短い。目と鼻の先の競合他社に勝利しなければ釣った魚は雑魚ばかりになり兼ねない。暗中模索のなか、ブース前を様々な人が流れて行っているその中の、いつ何人自社にとって質の高いお客が居るか誰も読めない一瞬一瞬に、澱みなく集客。
ならばどうする。
手段は、イベント機能・セールスイベント機能・推奨販売機能が有効である。
☑ では、それら手段を用いて、質の高いリードや新規開拓先を引き寄せて、プールさせたりブース内に引き込むには何をどうすれば良いか。
ヒントは、お客の立場で考えるテーマである。この視点は、短い会期の短い時間内で生産性を高めざるを得ない状況下に置かれている訳であるから、すべては、顧客目線で考えることが肝要である。「顧客はどうありたいと思っているか」、「何を願っているか」、「何がニーズか」、「どのようなことに悩んでいるか」、「何が問題点であるか」、「何をしてあげればお客が喜ぶか」、「求めているものは何か」 … etc.
呼び込みの方法は複数あるが、どれも云わば「開口一番」がポイント。1~2秒間で惹きつけることをする。
これらは何も展示会に限ったことではないが、ブース内でこの視点が感じられないとすれば、通常のビジネスステージにおける活動でも同様の結果を日々招いていると、少なくとも質の高い顧客からには見抜かれている。
質の高い顧客は充足したいが故に「質の高い出展企業のお客になりたい」と思うのが心情である。情報収集を目的にやって来るお客も同様に、「質の高い企業のお客で居たい」このことも求められている筈である。
外すと、お客は容赦なく流れ去る。捉え損ねたそのリードや新規開拓先は、目と鼻の先の競合他社に先取りされる可能性が高いことも視野に入れておかなければならない。
会期三日間の間口 15mブースの出展総予算が 500万円であったときの、10秒間のコストは 36,232円。間口 3mブースの出展総予算が 50万円であったときの、2秒間のコストは 12,000円である。
ブース前での集客は川釣りに似ている。たとえば、間口 15mブースの10秒間の餌代 36,232円。間口 3mブースの2秒間の餌代は 12,000円で、この単位でお客を逃し続けている。
出展料は小間代との捉え方とは別に、時間を買っていると言える。展示会は会期が短く、立寄り客とのコンタクト(接客)時間も少ない。この限界特性のなか、いつ何人ブース前を通過するかは誰も分からない。だから、質の高いリードや新規開拓先を集客する策は講じなければならない。無策で終始すると、暗中模索・手探り状態のまま500万円、50万円を回収できない結果となる。
この無策の実態を生み出している出展者の多さは、開催展示会でウオッチングすれば容易に見て取れるばかりか、毎回同じ過ちを繰り返している実態も手に取るように読み取れる。
どの開催展示会も同様で何年も何十年も担当者が入れ替わりながら手を付けず負のスパイラルを追いつづけている。
これでは生産性は上がらず、出展を取り止める企業も出てくる。お客も次回来場する気にならないから、来場客数は減少する。展示会は活気がなくなり、これに原因して主催者やオーガナイザーは新規出展者開拓に追われて疲弊し、来場客数増大に必要以上苦戦する結果を招く。このような展示会に魅力はあるか。
魅力がなければ何も動機づけられない。せめて200社中 53社以上の出展者は、ブース前で集客活動を活発に展開したいものである。
出展者が質の高いリードや新規開拓先をブースに立寄らす集客を瞬時、瞬時に実施し続けることで、その結果、ダイレクトにコンタクト(接客)出来て、ツーウエイコミュニケーションを非日常の商空間で活性化させることで、ボンディングが一層深まる。だから短時間で成果(目的・目標)が達成できるのだ。
仮に、無策のままで出展すれば、早晩、比類のない優れた商環境の場を自らが失うことになるばかりでなく、この自縄自縛行為だけでも、多くの来場客・主催者およびオーガナイザー・競合他社・出展関係者・会場関係者・会場周辺で経済波及効果の恩恵を被っている商店・交通機関・その他にまで悪影響を及ぼす結果となる。
4- 4- 3. 引き寄せて、プール
ステージパフォーマンスを実施しているステージ前には、大勢のお客がプールされている。
何故プールするか。注意を喚起したお客が興味・関心を抱き、もっと知りたい・もっと見たい。もっと聞きたい。もっと触れてみたいと思えばこそ、お客は自発的に歩み寄り、立ち止まる。この人が増えれば人だかりが形成される。その人だかりに触発されて更に増える。それを見た通り掛けのお客は、釣られるように近づきその輪に溶け込む。
この光景は、間口3メートルの基礎小間の出展者も十数人溜めている。これにたいし、大規模ブースはステージ前にもっと大勢のお客をプールしているが、その終えたあとに、商品の展示・陳列コーナーに同数くらいのお客が立ち寄っているのをあまり見たことがない。
集めてPRするのが目的でない筈であるから、釘づけて触発したその見込み客(リード: Lead)や新規開拓先の大半を商品の展示・陳列コーナーに誘導して、そこで有用情報を提供し、セールスイベントやデモンストレーションに参加させ、セールスアプローチに役立つ「ニーズ認識の実情が顕在しているのか、潜在していながらも開花寸前である状況下などセールスに有効なお客情報を入手し、名刺交換するなどに漕ぎ着けたいものである。
それと、大半の人が見落としている展示会に於ける重大かつ重要なテーマの「生産性向上」で見たとき、認識すべきことは、「間口3メートルの基礎小間も十数人溜めているこの実態はプールする一つの単位である」点である。これは何を意味するか。
マグネットスポットは間口3メートルの基礎小間では一か所しかスペースは取れないが、その倍になれば二か所、島ブース(島小間)」では少なくともか所のマグネットスポットがつくれるから、同時進行でメインテーマの三つが実現できる。
「販売の量は市場の露出面積に比例する」点で言えば、「間口3メートルの基礎小間」を会場内に複数構えて実施する手もある。
だからやり方次第である。
規模の大小ではない。考え抜く課題の一つだ。
そのうえでのことであるが、プールする適正客数というものがあって、ふしぎなことに多過ぎてはお客の注意力が散漫になり、少ないと潮が引くようにその場から次第に立ち去って行って、殆どのお客は、商品展示・陳列コーナーには立ち寄ることがない。釘付けされている小規模ブースでのお客の頭数を丹念に見て回ると、およそ適正客数が何人であるかは判明して来る。となると、ブース前での集客の目標値は、明確に一定数であると言える。これを踏まえて展開するかどうかで成果が大きく変わる。
この適正客数をキープすることで、主導的にお客の心を誘導し、商品展示・陳列コーナーに引き込むことが効率的に出来てくる。
4- 5. ◆ 立寄らせる
4- 5- 1. 立寄りの動機づけは不可避
そもそも、新規見込み客(リード: Lead)をターゲットアカウントとしてブース前通行客のなかから立寄らせるには、立寄らすことを実施しなければならない。
「質の高い見込み客(リード: Lead)や新規開拓先をブースに立寄らせる目標数の算出法」の項で、質の高いお客ブース立寄らせ目標数をゲットしなければ商談は初めから成立しない、と言った。
来場客が商談相手であろうとなかろうと、ブースへの立寄りが無ければ商談どころか、何も得られない。この段階で一巻の終わりとなる。
しかも、立寄らなかったリードや新規開拓先が競合他社に立寄った挙句、その後、受発注に応じるなど取引を開始がないとは言い切れない。
通常のビジネスステージでの営業・販売活動も同じ感覚とは思いたくないが、出展者の大半は、来場客数の多さに惑わされているかのような受け止め方に終始している。
つまり本質を衝くこともせずに、展示会を表面的に捉えていて、他人事で済ませている。その悪例の一部を以下に列挙してみる。
展示会は大勢の商談客がやって来ると思っている。ブース前は通行客でごった返しているから、期待大である。展示会はリードや新規開拓先が大いに稼げる。その内、期待どおりの商談客が飛び込んで来るだろう。来場客は商談に応じるために来ている。展示会は大いに効果が期待できる。だから展示会は成果が出る。主催者や経済産業省も言っているが、展示会は経済効果の恩恵を受けられるほど成果が大であるので、出展者への恩恵は甚大であるに違いない。
「待てば海路の日和あり」などと信じ切って居るのか、何も働きかけることもせず、我慢強くひたすらにリードや新規開拓先の方からブース内に立寄って来るに違いないと思い込んでいる出展者が、どの開催展示会も大半(出展者全体の87%くらい)である。
このように出展者は何かの幻想に取りつかれ、幻想を描いたまま無策で出展していないか。
この段階で一巻の終わりのこの現象をどう見るか。
誰のために何のために仕事しているつもりか。
売上げを拡大し、安定した大きな利益を得て、競合他社に勝利し、シェアを高める努力を怠れば、事業は確実に衰弱し、やがて企業は衰退する。大仰なことは言いたくないが、出展者の大半はこのようにお客を呼び込めていない。
そのために打つ手は準備しなければならない。出展の準備に追われる前に完了しておかなければならない課題だ。このために手間も時間もカネも掛かる。このテーマは避けてはならない。「そんなことに時間は掛けるな。外に出て売って来い」と上司や経営者に言われそうだと思えば、知恵のエネルギーを注いで説得すること。売上げがあがる話にカネを出さない経営者などは居ない筈だ。社内提案でA・B・C案の具体的な試算で成果を数字で示すなど、知恵を出さなければかたちにならない。
先ずは自らその気になることだ。
原因の追及は後回しにして、ともかく出展者は、新規開拓先・リードは何が何でも立寄らせると強い意思を働かせて、どうしたら良質の来場客を呼び込むことが出来るかを、イベント機能を駆使して考え抜かなければ始まらない。
動機づけるしかない。という意味で、そのために具体的にどうすべきかを考え、企画することから始めることが望ましい。
また別角度の問題点であるが、
主催者やオーガナイザーもコンサルタントも大学の先生も皆しっていながら見て見ぬ振りをして、「展示会は大きな成果が出ますよ!」とだけ声を高らかに掲げる。その実、掘り下げられていないまま、出展者の実績には一切立寄ろうとはしない。結局、主催者も出展者も、未完成のまま中途半端なコトで終始している。が故に、展示会は大きな収穫が見込めるチャンスなのである。
そして、
☑ 動機づけるにはどうすればいいか
☑ ブース前を通行するお客のなかで、呼び込みをしなくともブースに立寄ると思われるリードや新規開拓先のプロフィールと利用・使用のT・P・Oはどのように描かれるか。その着眼点は何が有効か
☑ これらタイプ別の動機づけの条件は何か
動機づけようとすれば、動機づけることをしなければ成就しない。
☑ 呼び込むには推奨販売機能やイベント機能となる。では、それら機能を具体的にどのように発揮するか
ブース前を通行するお客に働きかけて立寄らせ、プレゼンし、その気にさせてセールスアプローチして、商談に持ち込む一連のブース展開ストーリーにどうやって結びつけるかを構築するしかない。
一瞬の内に、立寄りの動機づけ。これは不可避となる。
4- 5 - 2. 質の高い見込み客をブースに立寄らせる目標数の算出法
出展の目的と目標を計画に沿って達成するために、出展における受注率・成約率から逆算して、商談の目標客数、そこに持ち込むためのコンタクト数、そのためのヒアリング数、そしてアプローチ数を算出する。そして、質の高い新規開拓先・見込み客(リード: Lead)をブース立寄らしせ目標数を求める。
この設定した目標数は、出展成果達成のため何が何でも死守しなければならない。
会期三日間であれば、稼動時間は延べ 1,380 分間( 23 時間)となる。この限られた時間内に、限られたブーススペースで、限られた人員で質の高い新規開拓先・見込み客(リード: Lead)をブース立寄らせ目標数をゲットしなければ商談は初めから成立しない。
しかも来場客は川のように流れている。
立ち止まって、近づいて来てほしい。自社ブースに興味・関心を持ってもらいたい。そのうえで立ち入ってくれなければ話にならない。
☑ ではどうするか
目標に見合うブース前集客活動を展開しなければならないのであるが、ブースウオッチングする限り、この目標設定のうえ能動的にブース前集客活動を展開している出展者は少ない。
経営者や経営管理者たちはこの実態をどう見ているのだろう。
売上げを拡大し、安定した大きな利益を得て、競合他社に勝利し、シェアを高める。そのために何をするかを考えて、つど最善を図るのを仕事している、と言うのではないのか
4- 5 - 3. ブース立寄りの意思決定は 3/1000 秒間。まばたきの一瞬
質の高い既存取引先や新規開拓先・見込み客(リード: Lead)を対象にしなければ成果につながらないのであるが、そもそも立寄りの意思決定リードや新規開拓先は 3/1000 秒間で行なっている。まばたきの一瞬に、である。
この瞬間を逃すと、ブース前通過のそのお客たちは再び戻っては来ないと思って間違いない。投入した手間・時間・コストに見合う利益を生み出すことをすべきところ、何も準備しなければ、ロスを生むだけとなる。
ブースへの集客は、大方の出展者が苦慮している。主体的になった新規開拓先やリードがわんさとやって来ているのだが、出展者の多くはブースへの立寄らせに失敗している。
4- 6. ◆ ブースパフォーマンス
4- 6- 1. PR中心のブースパフォーマンスのみの出展は有効か
大規模出展者に比較的多く見られる傾向は、会期中に終始、インカムを付けたプロのMCがステージ上に立って、出品製品(商品・技術・サービス)の優れた点を強調して訴求する「PR中心のブースパフォーマンス」を展開している。
このシナリオは、広告代理店のプランナーとコピーライターらを交えて周到に練られたと思える優れた内容が、ブース前通行の来場者の足を止めさせ、釘付けにしている。
その魅力は、ちょうどTV-CMやインフォマーシャルなどをステージ上のイベントで「生(なま)」で表現しているかのようである。
やがてステージパフォーマンスのMCは、釘付けにした来場者に声高らかにエンディングを告げ、終了しステージから降壇。
見事な「ブースパフォーマンス」が多い。
しかし終演後、商品展示コーナーに立寄っている来場者の姿は少ない。
プロのMCやイベントディレクター・PC(音響)・照明担当者たちは次ステージまで休憩。この間ステージもシャッターの降りた商店街のように、多くの来場者は川のように流れ去っている。
この「PR中心のブースパフォーマンス」での訴求は、会期後出展企業にとってどのような効果をもたらしたと言えるだろうか。
一か月後、三か月後、半年後に「売り」に結びついたのは会期中集客した員数の何パーセントを占めるか。
再生調査や再任調査によって、開催された展示会での「ブースパフォーマンス」の認知度は、何パーセントであったか。
相乗効果に結びついたと言えるか。
そのうち、商談行動に移した来場者は何社、何人いて、総額いくらの売上と利益をもたらしたか。
それは、投入した手間・時間・コストを上回る利益であったか。
「ブースパフォーマンス」は展示会出展で不可欠である。
しかし、それはステージでフィニッシュではなく、「パフォーマンス」に触発された質の高い来場客が商品展示コーナーで情報交換し、更に商談や会期後のアフターフォローの約束を取り付ける踏み込みが必要ではないのか。
キッパリ言って、「PR中心のブースパフォーマンス」のみでは、出展の体(てい)を成さない。
非日常の商空間など展示会の特性を活用して、およそ10分間単位で如何に生産性の高い結果を目的・目標に沿って連続して達成するかが、勝負の見せどころである。
ブースパフォーマンスの実施目的は、単位内の短時間で、一気呵成にその気にさせて、商品展示・陳列コーナー立寄りから商談の実現に向け、創造的・有効的・効率的な展開を行うかがポイントで、手段は、生産性・イノベーション・マーケティング・戦略を盛り込んだセールスイベントやデモンストレーションなどとなるが、そのフィニッシュは学習効果を確かめるにある。
4- 7. ◆ 訴求/ アピール
4- 7- 1. ヒトは目的で行動する
「商談結実の準備はできているか」の項の後段で述べるように、開催される展示会が物産展のように、商品の買い付け・買取・仕入れ・引き合いを目的に、出展者との商談に応じたいお客を会場に誘致し展開する展示会がある。
これも立派な展示会スタイルの一つである。
「ヒトは目的で行動する」から、この開催展示会の来場客の大半は出展者の商談に大半が応じる。応じるためにやって来るのだ。
となれば、訴求点は明確になる。
しかし、そのなかにあって、情報収集の目的でやって来るお客も存在するから、そのターゲットアカウントに向けての訴求も準備しておくことは当然のこととなる。
このタイプの展示会・見本市・ビジネスショー開催の成果(目的・目標)は、開催によって獲得される取引総額と営業利益となることを見据えた展開であるから、訴求/ アピールも主眼はそこに向けてとなる。
そこで、「生産財(産業財)の商品・製品・技術・システム・サービスの品定めを行い導入・購入の判断を行ってもらうB to Bスタイルの商談による展示会」の来場客の大半が情報収集目的であるパターンの展示会出展における訴求のおおむねは、その目的を充足させるところに主眼を置くことが有効であり効率的となる。
そのなかにあって、商談目的でやって来る既存取引先や新規開拓先・見込み客(リード: Lead)も存在するから、そのターゲット顧客に向けての訴求も準備しておくことは当然のこととなる。
このタイプの展示会開催の成果(目的・目標)は、開催によって獲得される取引総額と営業利益のみでなく、開催後の通常のビジネスステージにおける営業活動につなげてとなることを見据えた展開であるから、訴求/ アピールも主眼はそこに向けてとなる。
では、情報収集目的でやって来るお客が、「次回も来たい」と思うようにするためにどのような訴求/ アピールを準備すべきか。
このタイプの展示会において、自社商品・製品・技術・システム・サービスの機能の素晴らしさを高らかに謳いあげている出展者があるが、お客はそれを聞く振りをしていたとしても、実際は聞いていない。聞く耳を持っていない人が大半である。
関心事はお客のベネフィット(メリット・便益・利益・期待どおりの満足・恩恵・利便など)であるから、訴求/ アピール内容は顧客ファーストとしなければ、相手に響かない。
モノを販売しようとするとき、商品・製品・技術・システム・サービスの優れた点と顧客のニーズを結んで、利用することで得られるベネフィットの提示に反応すれば、基本的には購入してくれるものであろうが、
情報収集目的でやって来ている大半の来場者が響くであろうベネフィットは、あくまでも「欲しい情報を探しに来ている、その情報」である。来場客は平均的に往復 4時間費やして会場内に 4時間滞在する行動は、およそその日の大半は「欲しい情報を探す」ことを目的にし、他のことを犠牲にして、自発的に「探しにやって来ている」。
では、ここで云うところの「情報」は、商品(製品・技術・システム・サービス)の優れた点と顧客のニーズを結んで、利用することで得られるベネフィットの提示を求めて、それに期待して一日をつぶしているのだろうか。
それだけではない。
情報収集目的でやって来ている大半の来場者の「情報」とは、いかなる情報か。ここが「日本型の展示会」の大きな要点となる。
展示会開催の会場は、日常見慣れた景色とはまるで違う世界で、ヒトを大勢集める力、一度に多くのヒトを動かす力、リレーションシップが飛躍的に高められる力が働らいている。
一時期開催のみの「希少」で、「特別な」チャンス創出の場での「ビジネスの祭典」であるから、その「非日常の商空間」は、祝祭(催)性に包まれている。
そこへお客はやって来て飛び込み、多くのお客は、主体的かつ自発的にであるが故に、「招かれたい」、「もてなされたい」・「充足感を得たうえでお見送りされたい」と思っている。
単なる「イベント」や「行事」あるいは「商談会」とは異なる点である。
このお客の心情を充たすために、この場で出展者が「訴求/ アピール」して提供する情報の視座は、「非日常の商空間」であるから、「祝祭(催事・イベント)性」・「賑々しさ/ 盛況さ」・「人間的な心に響く開放的でセクシャアリティを伴って好きになる」を助長するかのように「エキサイティング」に展開・実施して、来場者を「わくわくドキドキ」させ「ウキウキ」 させたところで「訴求/ アピール」である。だから短時間でさばけるのである。
キーワードのメインは、「今回限り(希少と特別」の「新しさ」をはじめとするもので、他に、「意外性」・「インパクト性」・「参加性」・「楽しさ」・「面白さ」・「共感/ 共鳴性」・「文化性」・「オリジナル性」・「お客の主体性にたいする客観性」 etc.が切り口となる。
これらいずれかを加味したお客が求めるものに対応して創出し、「有用情報サービスの提供」 … これが日本型展示会における訴求/ アピールである。
裏返して言えば、この「訴求/ アピール」が無ければ充足されないから、「次回も来たい」とは思わなくなる。
これが無くて、「商品(製品・技術・システム・サービス)の優れた点と顧客のニーズを結んで、利用することで得られるベネフィットの提示」だけでわざわざ会場に足を延ばすだろうか。通常のビジネスステージにおける活動でできるのではないか。「なぜ展示会でか」の見方で「訴求/ アピール」を組み立てることが展示会ならではの結果を生む。
つまり、日頃見慣れたものや、インパクトに欠けるものは相手にしてくれないし、上述した「次回も来たい訴求/ アピール」だから、対象物にせよ見せ方にせよ「非日常の商空間」の要件を満たすキーワードを用いて、となる。
「商談会」とは異なる点はここにある。
「ヒトは目的を持って行動する」からには、「来場客ファースト」でなければ始まらない。