第二部  客足と客数  構成

 

2- 1. ◆ 来場者のイメージ

2- 1- 1.  一部主催者の企図に日本展示会協会が呼応し、経産省が方向性を示した来場客のイメージ

 

2- 2. ◆ 来場の目的

2- 2- 1.  展示会に購買あるいは契約目的でやって来る来場客

 

2- 3. ◆ 来場者総数

2- 3- 1. BtoB開催展示会来場者総数

2- 3- 2. 来場者総数は商談目的の出展者にとって展示会価値の評価基準となるか

 

2- 4. ◆ メインターゲット顧客2タイプの割合

2- 4- 1. メインターゲット顧客の割合

 

2- 5. ◆ ここまでしか来場者数の追跡分析は読めない

2- 5- 1.  来場者数の追跡分析で読めるのはここまで

 

2- 6. ◆ 来場者総数を増大する者

2- 6- 1.  主催者やオーガナイザーが来場者総数を開催のつど増大させる理由

 

2- 7. ◆ 開催展示会選択基準のひとつは質の高い来場者総数

2- 7- 1.  質の高い来場者を大勢招く開催展示会に出展すればこそ

 

2- 8. ◆ 来場目的別客数

2- 8.- 1. 購買や契約の商談目的の来場客は、何パーセント居て一日当たり何社とコンタクト(接客)ことになるか

 

2- 9. ◆ 主催者のつくる会場スペースマネジメントと客足の変化

2- 9- 1.  客動線・強制動線・ホットスポットの影響で客足が変わる

 

2-10. ◆ 出展者ブースの立地条件

2- 10- 1.  ブースの立地条件

 

2-11. ◆ 「立地競争」と「立地価値」で来場者数は影響される

2- 11- 1.  会場入り口から入った客足の辿る先の「立地競争」と「立地価値」で来場者数は絞られる

第二部

 

 

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2-1. ◆ 来場者のイメージ

2- 1- 1.  一部主催者の企図に日本展示会協会が呼応し、経産省が方向性を示した来場客のイメー

 
 

この来場客のイメージを探るのには、平成26年3月、~ はじめて展示会に関わる人のための入門書 ~の副題のもと、経済産業省によってまとめられた『展示会産業概論』からが早い。

その「はじめに」で、

会場では、 出展企業とバイヤーとの間で真剣な商談が行われ、その迫力に圧倒されます。また、開催 地域に対して幅広い経済波及効果をもたらし、地域のイメージやブランド力向上に寄与す るとともに、MICE の一環として、出展や商談を契機とした国内外からの誘客促進にもつ ながるなど、経済活動にとって重要なものとなっています。」

序章 展示会の概要(1)展示会の仕組みの項には、

「展示会は、企業等が商品・製品を販売するために販売先(バイヤー)と商談を 行ったり、市場動向(ニーズ)等の情報収集・情報交換等を行う場です」、としながらも「 ・・・ 真剣に挑みます。特に商談の場では、 出展者と来場者の熱気あふれるやりとりが展開されます。」で結んでいる。

第1章 展示会とは1.展示会の定義(2)展示会に関する様々な要素の定義①「来場者」の定義 我が国における「来場者」の定義は、

「情報収集、商品の購入、出展者との契約を目的として展示会に参加する人」

2.展示会の位置づけ (1)商談につなげる場としての産業では

「展示会は単に商品を展示(陳列)する場ではなく、出展者が商談を通じて商品の販売につなげたり、正確な商品情報を伝える場です。」

3.展示会の種類(1)特定の来場者(主にビジネス関係者)を対象とするもので、

「原則としてビジネス関係者に限定し、展示された主要な商品やサービ ス等の情報提供をもとに売買交渉(商談)を行うことにより、出展者は販路の確保(顕在顧客)や新規開拓(潜在顧客)に努めます。・・・ これに該当するものとして、「見本市・トレードショー」や「商談会」などが挙げられます。」

第5章 出展企業側からみた展示会「第1章でも触れたとおり、展示会開催の最大の効用は、

商談を通した出展者の 販売増です。」

3.具体的な展示会出展作業(2)出展準備●取引条件の設定の項では、

「展示会には商談のできる人がアテンドすることが前提です。」

4.展示会対応(2)商談スペースの確保では、

「会場内に商談スペースが設けられる場合が多いので、商談スペースを早め に確保することが重要です。」

5.展示会終了後(2)来場者(バイヤー)へのフォローアップで、

「継続してバイヤーへフォローしていくこ とが大事」

 

と、展示会は、出展者との契約を目的として来場したお客を暗示的にイメージしている。

経済産業省がまとめた『展示会産業概論』のようであるが、インターネットに上がってPDF化された資料は、検索結果、日本展示会協会のようであるから、ここに紐付いてであろうことから、日展協の思惑が働いてのことと読み取れる。

このように随所にちりばめた、メイン来場者は商談目的のお客である

 

「商談」を定義づけることなく、暗に、「契約や購買目的の商談中心の展示会にやって来る契約や購買目的の商談客を展示会や見本市のメインターゲット顧客としているかのようである。

この顧客の来場を推奨しているのは、結果を出す企業に出展してほしいからであろう。

主催者は、この趣意踏襲の出展者の誘致に精力を注いでいる。経産省も日本展示会の狙いはここにあるようである。

 

ところが、そう呼びかけてもほとんどの来場者は情報収集目的でやって来ているのが実情である。経産省も日本展示会も「既存の顧客だけでなく潜在的な顧客の声も聞くなどコミュニケーションを円滑にして、これら来場客の声をマーケティングに反映する」と、『展示会産業概論(P.139)』に、この程度しか記載がない意味で、彼らの描く望ましい来場客と実情に大きな乖離が生じている

 

2-2. ◆ 来場の目的

 2- 2- 1.  展示会に購買あるいは契約目的でやって来る来場客

 

 

☑ このタイプの来場客は自発的にやって来ると思えるか

居ないことはないが、僅少ではないか、と思われる。

 

☑ それでは、何故このタイプの来場客が購買あるいは契約目的でやって来るのか

それは、主催者が告知で開催を案内した展示会や見本市のコンテンツのフレーズに触れて、それが実現できるのであればいい機会だと思うこともあるだろう。

回を重ねるごとに開催される展示会や見本市が、それが実現できると認識されているケースもあるだろう。

しかし、これらでこのタイプの来場客の大半は占めない

 

☑ 彼らが、何かによって注意を喚起し興味・関心を抱いて購買あるいは契約に至る理解があって、連想もされていて、手に入れるべきだと思える願望がある程度顕在化していればこそではないか

 

☑ 購買心理がここら辺りまで進んでいればこそ遠くから重い腰を挙げて、わざわざやって来るのではないか

 

☑ このような見込み客はどこに何社存在するか

 

☑ このことがおよそ掴める企業が事前にその気にさせているからと、思われる。だとすれば、、このタイプの来場客は、他の出展企業が通常のビジネスステージにおける活動でその気にさせたのであるから、そのお客はその出展者のブースに立寄る目的でやって来ていると言えないか

 

☑ 退場客は必ずしも一社のみの働きかけからのものではなく複数の企業がそこにアプローチして下地をつくってのことと思われないか

 

☑ では、そのお客はその出展者ブースのみに立寄るか

 

必然的に、購買を決定する前段階で比較・検討する機会を、実に容易に得られる場が展示会・見本市であるから、そのお客にとってはありがたい場が展示会・見本市となる。

 

☑ それにしても、経済産業省の展示会産業概論においてもホームページに見る日本展示会においても各開催展示会の主催者においても、あたかも展示会のお客は新規顧客獲得が主かの想定となっているが、それは、展示会は来場者総数から見ると僅少の購買や契約など商談目的の来場客がメインと位置づけてのことのようであるが、これが展示会または見本市と言えるのか

 

2-3. 来場者総数

2- 3- 1. BtoB開催展示会来場者総数

 

BtoB開催展示会も来場者がわんさかやって来る

* 少し古いが、来場者規模別開催件数の参考データ:〈196件〉がある。

10万人以上          31件(15.8%)
 5万人以上~10万人未満   45件(23.0%)
 3万人以上~万人未満    38件(19.4%)

 1万人以上~万人未満    56件(28.6%)
 5千人以上~万人未満    14件( 7.1%)

出典:「展示会データベース 2014 年度版」((株)ピーオーピー)
 

 この多さで安易に展示会に出展すれば成果は出ると思い込んでいるかもしれないがそうはいかない

そうはいかないが、結局、何よりも重要なことは開催展示会の最大の評価基準は来場者総数である。かつて開催展示会は、この「来場者総数」を誇示し公表して来たが、その後、公表しない展示会が増えて来た。

来場者総数が市場規模と比例する観点で言えば、市場における支出配分総額を年々増大させることが主催者およびオーガナイザーの開催目的であるから、公表の有無問題はさることながら、開催のつど自己評価すべきで、その増大する支出配分総額と来場者総数はこの関係にあるから、少なくとも出展企業は、開催展示会選択において増大傾向は考慮することが望ましい。

ヒトはなぜ集まるか」の要因の一つは、多く集まるところに行きたがるのだ。その逆に、来場者総数の少ない開催展示会は魅力に欠けると思って、行きたがらない。熱気や活況の要因の一つは来場者総数である。この盛況は来場者総数が増えるに比例して、自社にとって有益な新規見込み客数も増える結果をもたらす

そこでもう一つ、来場者総数を増大する役割は主催者やオーガナイザーだと思い込んではならない。確かに彼らの主要テーマではあるが、出展者の役割でもあるのだ。来場者総数に出展企業がどれだけ寄与し、貢献しているかである。自社にとって有益な新規見込み客が欲しければ、出展して熱気や活況に貢献すべきである。出展力の強化。そしてこぞって来場客が次回も是非来たいと思わせたい

 

 2- 3- 2. 来場者総数は商談目的の出展者にとって展示会価値の評価基準となるか

 
 

広告のメディアに、例えば TVの視聴率や新聞や雑誌の発行部数のサーキュレーションがあるのと同じように、展示会の来場者総数は、展示会価値の評価基準となっている。

展示会価値の高さの一つとして来場者総数がある。この意識が働いたため、水増しして結果発表する主催者が多くあったため、かつて複数人の展示会推進者たちによって、海外の見本市や展示会の評価基準に合わせるため、来場者数のカウント規定などの作業が進められた。

この展示会価値の評価基準の見直しに当たっては、国際見本市化推進を踏まえて、海外展示会の基準に合わせる必要性が出てきた。

 

特に国際見本市を日本国内外で開催しようとするとき、海外企業の出展があるから、海外で開催される見本市の評価基準と見比べるであろうことから、日本の国際見本市の基準の定義は、ひたすら合わさざるを得ないのは当然である。

たとえば、ドイツでは展示会をドイツ営業法という法律で大きく「Messe」と「Ausstellung(独語:アウスシュテルング)に区分けして用いている。

Messe」は、専門業者限定の見本市。主として見本により、営業として再販売をするもの、産業用に消費するもの、もしくは大口消費者に販売するものが対象であると言われている。

 

これに対して、「Ausstellung」は、商品等の宣伝と即売や販売促進のための情報提供中心の展示会であるが、

日本で開催される国際見本市は、同一スタイルの販売や契約を成す商談中心の海外見本市との対比となる。

☑ 海外企業に働きかけて日本で開催される国際見本市に出展してもらうとき、販売や契約を成す商談中心を標榜しながら、実質来場するお客は、情報収集目的でやって来ている実体を海外出展者に伝えきっているのだろうか。それとも、日本で開催される国際見本市が、ドイツで言うところの、「Ausstellung」の来場客とプロフィールは類似していると伝えているのだろうか。

 

これらが検討されて、展示会価値の策定となったが、それは国際見本市化を基底となったことは経済産業省の展示会産業概論』 https://www.nittenkyo.ne.jp/other/document/H2603_gairon.pdf に色濃く反映されたように、日本で開催される展示会は、国際見本市をはじめ、購買や契約など商談目的の来場客が販売や契約など商談目的の出展者とビジネス・マッチングする場となることで展示会価値が高まると位置付けた。

 

では、冒頭申し上げたように、一方の展示会価値であるところの、来場者総数を、開催のつど高めることと齟齬が生じないか、という問題がある。

会期中、購買や契約など商談目的の来場客販売や契約など商談目的の出展者がコンタクト(接客)できる数は極端に少なく、

来場者総数は、何千、何万も必要としないからだ。

☑ それでも来場者総数を高めるにはどういう意味が隠されているのか

 

 

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2-4. ◆ メインターゲット顧客2タイプの割合

2- 4- 1. メインターゲット顧客の割合

 

開催展示会個別のデータは各主催者に問合わせると概ね判明するが、今のところ日本で開催されているBtoB開催展示会来場者総数の平均 25,000である。

BtoB開催展示会にやって来るお客の内、単純平均で購買行動や購買予定行動を起す目的商談の来場客はおよそ全体の 10%2,500)くらいで、情報収集目的の来場者は、およそ80%20,000)、そして花見客10%で構成されてやって来ているようである。話を分かり易くするために、この数値をベースにして試算を進めてみたい

 

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2-5. ◆ ここまでしか来場者数の追跡分析は読めない

2- 5- 1.  来場者数の追跡分析で読めるのはここまで

 

この来場者総数25,000は、会期が三日間でのことであるから、一日当たりの来場客数は、大雑把に言って2,500

この2,500人の内訳としての一日当たり商談目的の来場客は8332,500÷3日間)。情報収集目的の来場客は6,66720,000÷3日間)。

この合計のおよそ7,500883+6,667人)が一日当たりの商談目的と情報収集目的の来場者数とな

しかし、この一日7,500人目的を持ってやって来る来場者客が、個々の出展者のターゲット顧客とはならない。何故ならその来場者は、会場の入り口に入ると、 カテゴライズされた7 ゾーンくらい専門展に分散されるからだ。1ゾーン一日当たりの目的を持ってやって来る来場者客は1,0707,500÷7ゾーン - 1人)。

個々の出展者は、このゾーンの一つの立地にブース(小間)を設置することから、出展者は、この、1,070ターゲット顧客として、競合他社を含むゾーン内出展の企業で分け合う奪い合う)。

言い換えれば、専門展ゾーンは、出展者にとってのターゲット市場の商圏商勢圏とも言える。

この商圏商勢圏でブースを構え、ビジネス展開するのであるが、会期3日間)中のターゲット顧客3,210(一日当たり、1,070人×3日間)は、来場者総数25,000人13パーセントでしかない。これをマックス(maximum)に出展の目的と目標を達成することになる。

一日当たり購買行動や購買予定行動を起す目的商談のターゲット顧客は8332,500÷3日間)であるから、大雑把に言って一時間60分間)当たり104人833人÷8時間)、10分間当たり17人104÷6)であり、

一日当たり情報収集目的のターゲット顧客は、6,66720,000÷3日間)であるから、大雑把に言って一時間60分間)当たり833人6,667人÷8時間)、10分間当たり104人883÷6コンタクト接客目標と試算できる。

 

再び、目的を持ってやって来るターゲット顧客合計数に振り返ると、会期3日間)中のターゲット顧客3,210(一日当たり、1,070人×3日間)、一日当たり1,070人一時間60分間)当たり134人1,070÷8時間)、10分間当たり22人134÷6コンタクト接客目標と試算できるこのターゲット顧客に対しアプローチして成果目的目標獲得の展開を行い展開ごとに競合他社と勝負し展示会で得られる成果を分け合うことになる。

 

3,210人全員が自社ブース前にやって来るのかもしれないが、来るとも来ないとも断言できるデータはない

主催者側が、開催のつど調査し公表しているなら別の話だが、来場者数が読めるのはここまでで、出展ゾーンに雪崩れ込んだ以降数的にまったくわからない

わからない状態で、おそらく会期3日間)中の3,210、おそらく一日当たり1,070人、おそらく一時間60分間)当たり134人、おそらく10分間当たり22人134÷6をターゲット顧客として企画計画したブース展開を実施することになるのであるが、「およそ」・「大雑把に言って」・「 … のかもしれない」・「数的にまったくわからない」・「試算できる」・「おそらく」と前置詞を置いて説明したように、ブース前にやって来る客数は全く読めない

誰も読めない暗中模索してやるしかない

 

ここで、重大なことに触れなければならない

それは、「自社にとって質の高いお客率と短いコンタクト接客時間内で彼らへ創造的有効的効率的な対応」である。

これが具体的に講じられていなければ水の泡であるが、この自社にとって質の高いお客がブース前にやって来るのかいつ何人居るのかコンタクト(接客)出来るのか確認しない限りなんぴと(何人)と言えどもわからない

出展成果目的目標の出来不出来は準備次第である。

 

☑ この不確かで不安定な環境下で引き合いや成約の見込みを得る商談に専念する目的の出展スタイルで結果が計画どおり出るのだろうか

☑ 出展企業は、企画計画段階でこの種の算出を行ってこれなら行けると確信をもって出展実施し報告しているのだろうか

 

2-6. ◆ 来場者総数を増大する者

 2- 6- 1.  主催者やオーガナイザーが来場者総数を開催のつど増大させる理由

 

来場者総数に占める購買や契約など商談中心が来場目的のお客の数は、出展者にとっては、初期計画を達成するに十分な客数であれば最低、それだけで良い。それ以上は、接客担当の員数やスペースの限度などもあるから、何万、何十万と来場者が居ようと、商談中心の出展者にとっては、会期で得られる成果にふさわしい適正の客数を確保すればよいだけのこと、と思うのかもしれないが、

主催者やオーガナイザーは、その適正客数の何倍もの来場者数招待にこだわりを持っている。

それは、

展示会を非日常の空間、つまり熱狂的な雰囲気に包まれた勢いのある希少で特別なビジネスの祭典創り出すためにそれに十分な数のお客を迎え入れて賑々しく演出するこうすることで、触発された能動的なお客がわんさかやって来る。来場者総数のこの狙いがあって、出展者に貢献できるのである。

その企画・演出の着眼は、

展示会メディアパワー効果をふくめて想像を超えたビッグな成果で短い単位時間の中で一連の作業を通じ瞬発的に一気呵成にそれでいて比較的容易に実績を積み重ねることを繰り返しその結果得ることが可能となる

 ・・・ からで、

そのために稼ぎ出さなければならない来場者数なのである。

出展者が短い会期のなか生産性の高い環境で最大の成果目的目標)を得るために来場者数の多さは必要不可欠なのである。このため主催者やオーガナイザーは、展示会開催ごと来場者総数増大にチャレンジするのである

 

2-7. ◆ 開催展示会選択基準のひとつは質の高い来場者総数

 2- 7- 1.  質の高い来場者を大勢招く開催展示会に出展すればこそ

 

ここで云う質の高い来場者は、云うまでもなく自社にとって質の高いお客のことであるが、この「質の高さ」は自社でどのように捉えているだろうか。

「ビジネスは顧客の多い方が勝利する」顧客は、当然「自社にとって質の高いお客」である。「売上=単価×客数」の「客」である。

 

展示会に出展してビジネス展開してダイレクトコミュニケーションでコトを進めるに当たって対象とするお客も当然、このお客となる。

その意味で、出展者にとって優れた開催展示会は、主催者が開催を告知して集客しようとする相手も当然、「自社にとって質の高いお客」でなければ、大きく成果に影響するから、期待に沿った告知・集客を行っているかのチェックは厳しく捉える必要がある。

つまり、主催者の告知・集客のコンテンツとコンテキ(ク)ストは、期待に満ちたポテンシャルを感じとれるかを分析することが求められる。

しかし、展示会を開催するに当たって、多くの企業に出展を要請する立場の主催者が、まさか一社のために為すこともなければ、多くの出展者にとって質の高いお客に絞って告知・集客を実施するはずもないのであるが、少なくとも主催者の告知・集客のコンテンツとコンテキ(ク)ストには、強い関心を持つべきである。

そのうえでのことであるが、「質の高いお客」の告知・集客を主催者任せにして良いものか。この姿勢では、出展して結果を出そうとは思えないと言えないか。

ではどうするか。通常のビジネスステージにおける活動において質の高いお客づくりを推進しそのお客を招待するくらいの努力は必要ではないか。決して不確かな状態にしたまま出展してはならない

 

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2-8. ◆ 来場目的別客数

2- 8.- 1. 購買や契約の商談目的の来場客は、何パーセント居て一日当たり何社とコンタクト(接客)ことになるか

 

来場者の 10パーセントくらいが購買行動や購買予定行動を起すことを目的にやって来ていて、残り90パーセントくらいは情報収集が来場目的で、その 95パーセントくらいの人は自分が欲しいものをイメージすら描き切っていないと仮定したとき、

 

来場者総数 67,000人の内、6,700人が購買行動や購買予定行動を起すことが予想される。すべての出展者にとってこれだけ居れば十分だと思ってはならない。

 

ターゲット 6,700人を国際見本市はおおむね 7分野で分散する。

6,700人÷7分野 = 1分野( 1専門展) 957人。会期  3日間の商談対象数であるから、一日当たり 319人が、1専門展の対象商談目的での来場者となって会場内を対流して、自社ブース前を通過していることになる。

出展者総数は約 1,400社であるから、これも単純加重平均で割ると、1分野( 1専門展)当たり、広く捉えるところの競合他社は、200社が 1専門展内にひしめき合っている。この 1分野/ 専門展コーナーにほぼ共通のお客が一日当たり 319人が存在する計算になるが、

自社出品対象商品(製品・技術・システム・サービス)にとっての直接的なライバルは絞られるから、商談対象数は、実質は 319人よりも少ないお客が、商談目的の対象のお客となる。

 

この人数のお客が自社ブース前を通過していると思われるのであるが、319人を分母として前項で触れたように、97 98%のブース前素通り率を発生させている点で言うと、購買や契約の商談目的の来場客をブースに立寄らせ、コンタクト(接客)できる対象の見込み客数は、

一日当たり 10319 - 309.4) ~  6319 - 312.6) 社くらいの商談目的の対象客しかブースに立寄らせていない、ことになる。

この中には、説明を聞いただけで離脱するお客も、競合他社の回し者も含まれていると推測する。

一日 8時間、接客担当者をはじめ関係スタッフが配置に着いている。この会期 3日間のために、何か月も前から、企画し、体制を組んで打ち合わせを重ね、準備し、関係スタッフ全員ブースに 3日間拘束 ・・・

 

来場者総数 67,000人。一日 22,333人の来場。やはりわんさかである。だが、販売や契約を企てて出展者の約 1,400社の実質は、一日当たり106社くらいのことで終わっていると言えないだろうか。

 

来場者総数 67,000人の30パーセントくらいが商談目的来場客の国際見本市であったとすると、

20,10067,000× 30パーセントくらい)人が会期中のターゲット総数。

 

ターゲット 20,100人を国際見本市はおおむね 7分野で分散する。

20,100÷ 7 分野 =1 分野(1専門展) 当たりの商談対象者は 2,871人。会期 3日間の商談対象数であるから、一日当たり 957人が、1専門展の対象商談目的での来場者となって会場内を対流して、自社ブース前を通過していることになる。

 

この一日当たり 957人を 200社がシェアリングしていることになるが、ブース前素通り率、9798%で計算すると、

29-19人(957-928957-938)人くらいと商談となる。

 

出展者総数は約 1,400社であるから、これも単純加重平均で割ると、1分野(1専門展)当たり、広く捉えるところの競合他社は、200社が 1専門展内にひしめき合っている。この 1分野/ 専門展コーナーにほぼ共通のお客が一日当たり 319人が存在する計算になるが、

自社出品対象商品(製品・技術・システム・サービス)にとっての直接的なライバルは絞られるから、商談対象数は、実質は319人よりも少ないお客が、商談目的の対象のお客となる。

 

このような面から言って、

来場者総数 67,000人の国際見本市で商談中心型に出展した企業は、来場者総数を展示会価値の評価基準と見るだろうか、の疑問。

結果が思わしくなかったとき、来場者総数が少なさ過ぎるとか、来場者の質が悪すぎると愚痴をこぼさないだろうか、と早合点しないだろうか

 

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2-9. ◆ 催者のつくる会場スペースマネジメントと客足の変化

 2- 9- 1.  客動線・強制動線・ホットスポットの影響で客足が変わる

 

会場の入り口の数と、位置および主要通路の幅と、長さとたどり着くホットスポットあるいは、専門展の配置やブース構成と、それに絡む通路の設計等々のフロア・プランが、客動線に影響して来場客は動く

来場者全員が通過するスポットも考えにくいし、来場者の来場目的でも通行路が変わるのであるから、「来場者総数とブース前通行客数は比例しない。それ故、自社のターゲット顧客である見込み客数とも比例しない」と捉えて間違いない。

お客は、目的を持って事前に下調べして立ち寄る幾つか出展ブースを特定していることもあるから、それによっても動線は変わる。

 

しかも、開催展示会の会場構成は、「専門展」などカテゴライズされていることから逆に見ると、自社メイン出品商品関連ゾーンと自社ブースの設置位置の立地条件がどうであるかや、主要出展者ブースとの関係性などを見て、ブース前通行客数を推し量ることになるが、合わせて時間的な強制動線が働く主催者の催す催事(セミナーやイベント)や、集客力の強いスターブース企業の開催イベントなど、会場内におけるホットスポットが、どの箇所にあって合計何か所になるか、それらによって究極ブース前通行客数は変化する

 

このように動線は様々な要因によって変化するから、左足を軸足にして心臓を守るように右足で舵を取りながら時計の針と反対方向に動くという説は展示会に当てはまらない。

 

そこで問題は、来場客の総数が多かろうが、動線がどうであろうと、自社出展ブース前に新規見込み客が何人(社)くらい足を向けてくれるか

… は、気になるものである。例えば、一日を12分間単位で刻んだとして、出品メイン商品(製品・技術・サービス)を12分間に何人やって来てくれれば計画願望通りの商談ができると読み込んでいるか

 

となれば、単純に来場者総数が多いからブース立寄り客数も多いとは言えない

もちろん、商談が主目的の来場客や純度の高い招待客の動きは上の例題で示した行動パターンにはならない

 

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2-10. ◆ 出展者ブースの立地条件

2- 10- 1.  ブースの立地条件

 

ブースの立地は小売マーケティングと同様成果に比較的大きく影響する。一般に好立地と思われる所は実は不適切な立地であったり、ゾーン内の商勢圏を考慮しておかなければ成果に響く等々検討材料がある。そして引力が働く立地に出展するかしないかで業績は格段の相違となる

小売マーケティングで云うところの「立地」は、その立地次第で命取りになるし、狙いどおり業績がアップする

しかも、継続出展においての立地は、存在認知イメージをコンクリートさせる働き上いつも一定の場所にブースを構えることで、大きな効果をもたらすことになる。

企業が展示会に出展すると云うことは、店舗またはショールームを出店することになる、との観点で言えば、問題点が三点ある

一つは、出展(出店)した会場を、「商圏と見ることで生じる問題点だ。

展示会場全体を市場と捉えると共に、その中の一角を構成する専門展に出展するそのゾーンは商圏になる。この「商圏」という捉え方は、ビジネス上大きな要素であるから、熟慮すべきで、小売業でない企業がとかく見落とすテーマである。

商圏とは何か展示会出展における商圏はどうあるべきか、実は重大な問題点であるから、研究課題である。

 

更に言えば、展示会には目と鼻の先に競合他社も出展しているのが大半である意味において、そのゾーン(リージョンまたはテリトリー)は、完璧な商勢圏を成している。この商勢圏内で、健全で秩序ある競争を展開して良質の顧客の争奪戦と商機の奪い合いと引き合い成約のシェアリングが活発に展開しているこの実勢を直視することは意義深い。

小売業でない企業にこの認識が欠如している点において、立地競争」と「立地価値重大な問題で、この研究課題を考慮しての出展が求められるのであるが、研究が進められている企業はロスを生じさせていない

開催展示会によっては、主催者側で出展ブースの位置が一方的に決められているところがあるが、それは主催者側のご都合のことであって、出展者の利益は加味されていない。学習ができていないから仕方ないで済ませる問題ではない。

同様に、主催者やオーガナイザーも出展者のために展示会活況のためにひいては来場者という大切な顧客のために立地に関する学習テーマ」に追求の手を緩めないでほしい。開催展示会をあらかじめ見学してチェックリストでサーベイ調査を期待したい

「商圏」、「商勢圏」、「立地」、会場の入り口の立地、出口の立地、主要通路に面した立地、道幅の広い主要通路に面した立地、通行客の肩が触れない程度の道幅の通路に面した立地、丁字路角の立地、丁字路手前の立地、四つ角通の角地の立地、会場内設置のイベント会場、会場内セミナー会場隣の立地、スターブースの位置、複数のスターブースの動線、スターブースのイベント・コーナーに隣接した立地、基礎小間の配置、背割りなどの条件、主要通路の取り方、主要通路を考慮してのフロアプランの工夫と演出、アベニューの工夫と演出、通路幅、客動線・強制動線、ホット・スポット、その他ホット・スポットの恩恵が得られる立地、通過率とコールド・スポット、シャワー効果とシャワー効果の期待できる立地、離れた位置から目立つ場所の立地、休憩場や飲食コーナーの立地etc. … 「スペースマネジメント」の熟慮を期待したい。

そのうえで有効な立地選択の検討は重要テーマとなる

 

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2-11. ◆ 立地競争立地価値で来場者数は影響される

2- 11- 1.  会場入り口から入った客足の辿る先の立地競争立地価値で来場者数は絞られる

 

会期三日間で3,210人(一日当たり、1,070×3日間)のメインターゲット顧客は実際に自社ブース前を通る客数とはならない

会場内に入り口から入ったのち客足は、主要通路から主催者開催のシャワー効果を生む仕掛けのイベント会場やスターブースの新製品お披露目などのホットスポットへの強制動線に影響され散って行く。

客足は、専門展の配置やブース構成とそれに絡む通路の設計等々主催者のフロアプランが客動線に影響し、更に来場者は、会場内の様々な立地によって「立地競争立地価値を生じさせ結果自社ブース立地周辺への来場者数はそれなりに減少することは確かであるから、主催者が公表する来場者総数の多さに惑わされる訳にはいかない

もっとも、立地によって集客力が変化することから出展者にとってブース小間の立地は成否を分ける重要な要素である点において、先例で触れた主催者任せにする訳にはいかない問題でもある

 

 

 

 

 

 

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